今年6月、デンマークで総選挙が行われ新政権が発足しました。85%もの投票率を記録した4年ぶりの選挙。その結果を解説します。(選挙前の争点の記事はこちら)
さらに、15年ぶりの国政を目指したThe Christian Democratは1.7%の得票率でしたが、国政進出に必要な2%を確保することができず、議席を得ることはできませんでした。
これら議席を獲得できなかった党(を合計した4.3%の得票率、15万以上の票数は「死票」となります。死票とは選挙において当選者の決定に結びつかなかった票のことです。つまり、この4.3%の声を代弁する議員は生まれなかったということです。
4.3%という数字は、デンマークにおいて1990年以来最大の数字といいます。一方で2017年の日本の衆議院選挙における死票は48%でした。ここにも選挙システムと結果の行方、それから感じる「自分の投票が結果に反映される」という認識の度合いが読み取れます。デンマークの選挙システムは日本と異なるため、4.3%と48%という簡単な比較はできません。しかし、この事実は、なぜ、日本の死票の多さが生み出されてしまうのか、48%の声が届いていないという現状で、民主主義は保たれていると言えるのか、選挙システムに目を向けるきっかけにもなるでしょう。
こちらは前回の選挙でDPPが第一党となった選挙区の結果(左図)と今回の選挙における結果(右図)を比較しています。この比較からわかるように、前回の選挙でDPPが優勢だった選挙区のほとんどは、社会民主党と自由党に取って代わられたことがわかります。
この図から、4年の政権運営を経て結果がガラリと変わることがみてとれます。デンマークでも、もちろん地域によって右派が強い/左派が強い地区というのはありますが、それ以上に、4年間の政権運営を国民がしっかりとチェックしている、その評価が次回の選挙でしっかりと投票によって反映されているということがわかります。この地区は〇〇党の地盤があるから…と甘く見ておくことはできません。この形こそ、Healthyな政治の姿といえるのではないでしょうか。
そして、参院選に向けて。この選挙結果解説を作る上で見えてきたのは、
政権交代
the localより引用 |
6月5日に行われた総選挙により、野党・社会民主党を中心とした左派陣営が過半数を獲得し、政権交代が起こりました。増税による充実した福祉政策を訴えた中道左派の社会民主党が179議席のうち48議席を獲得して第1党となり、中道右派の与党・自由党は43議席にとどまりました。自由党は9議席伸ばしたものの、前回躍進したデンマーク国民党(DPP)が劇的に議席を減らしたことが、政権交代の大きな要因になったと考えられます。
左派勢力が勝利した結果について、ロイター通信は、社会民主党は、社会福祉制度の拡充を訴え、関連予算を拡大すると表明。長年の緊縮財政に不満を抱いていた有権者から支持を集めた。移民に厳しいスタンスも支持拡大につながった。と分析しています。
結果に伴い、自由党を率いていたラスムセン首相は退陣を表明、社会民主党の党首であるメッテ・フリクセンが首相になりました。フリクセンは41歳。デンマーク史上最も若い首相になります。フリクセンは、「あなたたちが投票し、決定し、新しい議会を作った。そしてデンマークが新しい多数派を持つこと、新しい方向に歩むこと、新しい政府になることを選んだ。すべての人に感謝を。」と述べました。
さらに、3週間の話し合いを経て、左派勢力の閣外協力を得て、単独少数政権を発足させました。中道左派陣営の急進自由党・社会主義人民党・赤緑連合が社民党政権をサポートします。社民党は「反移民」の立場を表明しており、寛容な中道左派陣営の他政党との協議が長引きましたが、移民規制を一部緩和することで折り合いました。
新内閣の全閣僚20人のうち7人が女性で、平均年齢は41.8歳。30代が9人、40代が9人、50代が2人です。日本(昨年10月発足の改造内閣)は20人中女性が1人で、平均年齢63.4歳。30代が0人、40代が0人、50代が5人、60代が13人、70代が2人でした。この様子からもデンマークと日本の政治の核における若さ・女性の対比が見て取れます。
しかし、デンマークのローカルメディアは新政権について「デンマークの若い新しい政府は、男性の大臣数が女性の大臣数よりも2倍だ」と見出しをつけ過去の政権での女性大臣の割合と比較しました。さらに、社会主義人民党(SF)の党首が「新しい政府に35%しか女性がいないのは恥ずかしい。しかし、女性首相というのはポジティブな側面だ」とツイートしていた、と報じました。このメディアの報じ方においても、デンマーク社会でのジェンダー平等がどれほど重要視されているのか、そして根付いているのかがわかります。
出典:ビジネス短信/The local /東京新聞/FINANS/駐日デンマーク大使館
左派勢力が勝利した結果について、ロイター通信は、社会民主党は、社会福祉制度の拡充を訴え、関連予算を拡大すると表明。長年の緊縮財政に不満を抱いていた有権者から支持を集めた。移民に厳しいスタンスも支持拡大につながった。と分析しています。
選挙結果 |
新政権の発足
赤い服を着た女性がフリクセン首相 |
さらに、3週間の話し合いを経て、左派勢力の閣外協力を得て、単独少数政権を発足させました。中道左派陣営の急進自由党・社会主義人民党・赤緑連合が社民党政権をサポートします。社民党は「反移民」の立場を表明しており、寛容な中道左派陣営の他政党との協議が長引きましたが、移民規制を一部緩和することで折り合いました。
新内閣の全閣僚20人のうち7人が女性で、平均年齢は41.8歳。30代が9人、40代が9人、50代が2人です。日本(昨年10月発足の改造内閣)は20人中女性が1人で、平均年齢63.4歳。30代が0人、40代が0人、50代が5人、60代が13人、70代が2人でした。この様子からもデンマークと日本の政治の核における若さ・女性の対比が見て取れます。
しかし、デンマークのローカルメディアは新政権について「デンマークの若い新しい政府は、男性の大臣数が女性の大臣数よりも2倍だ」と見出しをつけ過去の政権での女性大臣の割合と比較しました。さらに、社会主義人民党(SF)の党首が「新しい政府に35%しか女性がいないのは恥ずかしい。しかし、女性首相というのはポジティブな側面だ」とツイートしていた、と報じました。このメディアの報じ方においても、デンマーク社会でのジェンダー平等がどれほど重要視されているのか、そして根付いているのかがわかります。
出典:ビジネス短信/The local /東京新聞/FINANS/駐日デンマーク大使館
特徴分析
社会民主党の勝因
キャンペーン期間中、社会民主党は公共投資(public spending)の増加とビジネス・福祉への税金の増加、そして40年間勤務した人々が早期に退職できるように年金改革を部分的に引き下げることを約束しました。公的債務削減のために歴代政権が支出を削減してきたことで、かつては無料だったサービスを自費で負担しなければならない人が増えてきたこと、こうした公共サービス削減への不満が現れた結果、福祉予算の拡充を打ち出した社会民主党に票が動いたととれるでしょう。
さらに、中道左派である社会民主党がアンチイミグレーションの立場をとったことで、右派からも社会民主党に有権者が流れたことが考えられます。
さらに、中道左派である社会民主党がアンチイミグレーションの立場をとったことで、右派からも社会民主党に有権者が流れたことが考えられます。
デンマーク国民党の敗退からみえること
前回躍進したデンマーク国民党(DPP)は、2015年の選挙で獲得した得票率を21%から8.7%まで大きく支持率を落とし、21議席失いました。DPPはナショナリズム、反イスラムをアイディンティティとしており、近年のデンマークの厳しい移民政策に影響を与えていたと言われています。
そのDPPが議席を落とした理由には、
①社会民主党が「反移民」を打ち出していること
②DPPよりも強固に反移民姿勢を示す極右政党の登場
が考えられます。②においては、「アンチイミグレーション」を支持する有権者が極右政党に支持を移し、DPPを支持する明確な理由が薄まってしまったということです。
そして、社会民主党はこれまでの移民政策を厳しくする最近の政策を撤回しないことを明らかにしていたため、「アンチイミグレーション」の支持者は極右政党へ、もしくは社会民主党へ投票する、という選択をとったといえるでしょう。
さらにデンマークのメディアは、もしDPPと2つの新極右政党の得票率を合計した場合、主に反移民政策を掲げる政党への投票は12.9%になると推定しました。これは、今回の選挙において、移民に対し厳しいスタンスをとることを第一優先と考えている人々が13%近くいることを示しているということです。
つまり、DPPの敗退はデンマークの有権者が「ナショナリズム」や「反イスラム」といったアンチイミグレーションの立場を改め、移民に対し穏健派になったのではなく、ただ投票先が変わったからともいえるのです。
そのDPPが議席を落とした理由には、
①社会民主党が「反移民」を打ち出していること
②DPPよりも強固に反移民姿勢を示す極右政党の登場
が考えられます。②においては、「アンチイミグレーション」を支持する有権者が極右政党に支持を移し、DPPを支持する明確な理由が薄まってしまったということです。
そして、社会民主党はこれまでの移民政策を厳しくする最近の政策を撤回しないことを明らかにしていたため、「アンチイミグレーション」の支持者は極右政党へ、もしくは社会民主党へ投票する、という選択をとったといえるでしょう。
さらにデンマークのメディアは、もしDPPと2つの新極右政党の得票率を合計した場合、主に反移民政策を掲げる政党への投票は12.9%になると推定しました。これは、今回の選挙において、移民に対し厳しいスタンスをとることを第一優先と考えている人々が13%近くいることを示しているということです。
つまり、DPPの敗退はデンマークの有権者が「ナショナリズム」や「反イスラム」といったアンチイミグレーションの立場を改め、移民に対し穏健派になったのではなく、ただ投票先が変わったからともいえるのです。
新しい政党の登場(アンチイミグレーション)と死票の行方
今回の選挙において注目されたのは、新しく登場した極右政党が国政に進出するかどうかでした。その政党とは、the New Right、Klaus Riskær Pedersen、Stram Kursです。
デンマークにおいて、国政進出をするために必要な得票率2%を獲得できるかどうかが鍵になります。
強硬反移民政策・自由主義経済政策をとるthe New Rightは、2.4%の得票率で4議席を獲得しました。一方、Klaus Riskær Pedersenは0.8%の得票率で議席を得ることはできず。そして、デンマークのトランプとして有名になったラスムス・パルダン率いるStram Kurs(Hard Line)。国政進出が危ぶまれていましたが、最終的に1.8%の得票率で国政進出は叶わず。ホッとした人も多いのではないでしょうか。
(ラスムス・パルダンについての記事はこちら)
デンマークにおいて、国政進出をするために必要な得票率2%を獲得できるかどうかが鍵になります。
強硬反移民政策・自由主義経済政策をとるthe New Rightは、2.4%の得票率で4議席を獲得しました。一方、Klaus Riskær Pedersenは0.8%の得票率で議席を得ることはできず。そして、デンマークのトランプとして有名になったラスムス・パルダン率いるStram Kurs(Hard Line)。国政進出が危ぶまれていましたが、最終的に1.8%の得票率で国政進出は叶わず。ホッとした人も多いのではないでしょうか。
(ラスムス・パルダンについての記事はこちら)
さらに、15年ぶりの国政を目指したThe Christian Democratは1.7%の得票率でしたが、国政進出に必要な2%を確保することができず、議席を得ることはできませんでした。
ラスムスパルダンの護衛のために、莫大なお金が使われているといいます |
これら議席を獲得できなかった党(を合計した4.3%の得票率、15万以上の票数は「死票」となります。死票とは選挙において当選者の決定に結びつかなかった票のことです。つまり、この4.3%の声を代弁する議員は生まれなかったということです。
4.3%という数字は、デンマークにおいて1990年以来最大の数字といいます。一方で2017年の日本の衆議院選挙における死票は48%でした。ここにも選挙システムと結果の行方、それから感じる「自分の投票が結果に反映される」という認識の度合いが読み取れます。デンマークの選挙システムは日本と異なるため、4.3%と48%という簡単な比較はできません。しかし、この事実は、なぜ、日本の死票の多さが生み出されてしまうのか、48%の声が届いていないという現状で、民主主義は保たれていると言えるのか、選挙システムに目を向けるきっかけにもなるでしょう。
地域差からわかること
デンマークのメディアDR(日本でいうNHK)が選挙結果をグラフィックに可視化しました。このサイトから面白い部分を少し紹介します。
上の図は各地域における第一政党を表しています。殆どが社会民主党(赤)と自由党(青)で占められています。実は4年前の選挙では、この点はほとんどが黄色でした。つまり、最も支持されていた政党はDPPでした。しかし今回の選挙でDPPはたった1つの選挙区でしか第一党になりませんでした。
こちらは前回の選挙でDPPが第一党となった選挙区の結果(左図)と今回の選挙における結果(右図)を比較しています。この比較からわかるように、前回の選挙でDPPが優勢だった選挙区のほとんどは、社会民主党と自由党に取って代わられたことがわかります。
この図から、4年の政権運営を経て結果がガラリと変わることがみてとれます。デンマークでも、もちろん地域によって右派が強い/左派が強い地区というのはありますが、それ以上に、4年間の政権運営を国民がしっかりとチェックしている、その評価が次回の選挙でしっかりと投票によって反映されているということがわかります。この地区は〇〇党の地盤があるから…と甘く見ておくことはできません。この形こそ、Healthyな政治の姿といえるのではないでしょうか。
争点…気候・福祉・移民
最後に、今回の選挙の中心的な3つの争点についてまとめたいと思います。
- 福祉
これまでデンマークが大切にしていた福祉型モデルの行方について、多くの有権者が注目していました。「生まれてから死ぬまで」を支える福祉国家を維持するため、デンマークは世界でも有数の高い税金を払う国の一つです。しかし、人口の高齢化に伴い、これまでの政府は福祉コストをカットしてきました。そこで、有権者はこれまで無料だったサービスに対しお金を払う必要性や、ヘルスケアや教育などの重要なサービスが損なわれてしまうのではないかと懸念しています。
だからこそ、福祉の拡充を訴えた社会民主党が第一党に選ばれたと推測できます。デンマーク人は、これまでのデンマークを作り上げてきた福祉国家を保ちたいと考えているようです。
- 環境
EU議会選挙においても重要なトピックとなった環境問題。世論調査によると、57%のデンマーク人が次の政府に気候変動を優先的な政策にするよう求めていました。特に、18歳から35歳の若い有権者は、その割合が69%にも上ります。有権者は気候変動が重要な問題だと指摘し、政治家に何らかのアクションをとることを求めています。
ただ、4年前の選挙では気候変動をマニュフェストとして掲げていたのはthe Alternativeの1党だけでした。しかし、今回はほぼ全ての党が掲げるという状況に。争点の変化とともに、国民の関心の変化に対して反応する党の様子も伺えます。
しかし、そのthe Alternativeは今回の選挙で議席数を減らしました。そこで、デンマークの政治フェスティバルpeople’s meetingのthe Alternativeブースにて、党員の方に質問したところ、
「自分たちは右派や左派のスタンスを取らない。気候変動に対してアプローチできればいいから、今回自分たちの政党の議席は落としたが、多くの政党が気候変動に対して考えるという姿勢をみせていることは喜ばしい。」と答えていました。
しかし、そのthe Alternativeは今回の選挙で議席数を減らしました。そこで、デンマークの政治フェスティバルpeople’s meetingのthe Alternativeブースにて、党員の方に質問したところ、
「自分たちは右派や左派のスタンスを取らない。気候変動に対してアプローチできればいいから、今回自分たちの政党の議席は落としたが、多くの政党が気候変動に対して考えるという姿勢をみせていることは喜ばしい。」と答えていました。
- 移民
これまでの厳しい移民政策を先導していたDPPは議席数を落としたものの、その代替党として新極右党が登場したのは上で述べたとおり。右派が敗退し政権交代がおきても、全ての問題が左に移行したわけではありません。自由党も社会民主党も、福祉国家を守るためにアンチイミグレーション政策を進めようとしています。しかし、今回の組閣により、「反移民」の立場をとる社会民主党に対し、連立政権をとる他の中道左派政党が反発、より緩やかな移民政策をすることを訴え、歩み寄りをみせたのは1つ前進かもしれません。ただ、これによりこれからのデンマーク政策がどうなるかは、まだわかりません。
しかし、この移民問題は新たな変化をもたらしました。
今回の選挙は、マイノリティのバックグラウンドを持つ多くの人々が、投票を一種の「義務」とみなした大きなターニングポイントとなるだろうといいます。
伝統的にスカンジナビア諸国の移民は投票率が低い傾向にあります。デンマークでの2015年の投票率は85%でしたが、それに対して移民の投票率の割合は66%でした。(日本の全体の投票率よりは高いですが…)
しかし今年は、異なる民族的背景を持つ有権者の割合が通常高いゲットーなどの投票所で、投票率が大幅に上昇しました。
この結果は、多くのボランティアグループが投票を促したことの他に、多くの有権者がラスムス・パルダンの政界進出、それによる影響力を危惧したことにより、投票という選択肢をとったからだと分析されています。普段は投票しない層が、自分たちや自分たちの子どもがどういう状況になるのかという懸念を抱き、投票という行動に移ったといいます。
移民の投票率の増加により、政治家はより彼らを無視できなくなる上、デンマークにおける新たな力の構成要素になると考えられると専門家は分析しています。
投票という行動により、自分たちの存在感を政治家にアピールすることができる。これはデンマークだけでなく、日本での投票にも言えることでしょう。
出典:ALJAZEERA/DR
しかし、この移民問題は新たな変化をもたらしました。
今回の選挙は、マイノリティのバックグラウンドを持つ多くの人々が、投票を一種の「義務」とみなした大きなターニングポイントとなるだろうといいます。
伝統的にスカンジナビア諸国の移民は投票率が低い傾向にあります。デンマークでの2015年の投票率は85%でしたが、それに対して移民の投票率の割合は66%でした。(日本の全体の投票率よりは高いですが…)
しかし今年は、異なる民族的背景を持つ有権者の割合が通常高いゲットーなどの投票所で、投票率が大幅に上昇しました。
3つの投票所での投票率の変化のグラフ。DRより |
移民の投票率の増加により、政治家はより彼らを無視できなくなる上、デンマークにおける新たな力の構成要素になると考えられると専門家は分析しています。
投票という行動により、自分たちの存在感を政治家にアピールすることができる。これはデンマークだけでなく、日本での投票にも言えることでしょう。
出典:ALJAZEERA/DR
まとめ
右派から左派へ政権交代が起こり、41歳の女性首相を中心とした新政権が発足しました。この選挙によってDFは多くの議席をなくし、多くの人の懸念事項であった移民政策に関してはやや寛容な路線をたどるでしょう。一方で、第一党を獲得した社会民主党は「反移民」の立場。左派へ政権交代したといえども、デンマークにおける移民に対する考え方がよくなったとは言い難い状況です。
デンマークでは、政権交代が起きることは珍しくありません。むしろ、4年間政府がどう政権を運営し、どの方向に国の政策の舵を切っていたか国民が評価を下す場として選挙が機能しています。
私と同い年のデンマーク人の友達は「どうして投票に行くの?」という質問に対し「大事だから。」とシンプルに回答していました。自分の投票が結果に反映されるというシステム・その結果が、「大事だから」と国民1人1人が思い85%という高い投票率を常にキープしているのかもしれません。だからこそ政府も国民の声を無視できない。極めて健全な民主主義の姿がデンマークにはありました。そして、参院選に向けて。この選挙結果解説を作る上で見えてきたのは、
- 高い投票率の裏にある、国民の「政府の監視能力」
- デンマーク社会におけるジェンダー平等の重要性
- 4.3%という死票の少なさ、それを生み出す健全な選挙システム
- 国民の関心トピックを拾う党の姿
- 投票という行動が「自分の意見を反映させる」方法として機能していること
でした。政治は、政治家が作るものではなく、国民が作っていくもの。今回の参院選に向けて、わたしはどういう将来を描きたいのか。北欧社会、ちょっといいなと思っているみなさん、もちろん投票は行きますよね?