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環境先進国・デンマークで知ったわたしに環境問題の責任がある理由

デンマークでフォルケホイスコーレに留学して、私の学校がサステナビリティに力を入れていることもあり、毎日のように「サステナビリティ」という言葉を聞きました。

私はデンマークに来るまで、サステナビリティのことなど自分の生活の中で考えたこともありませんでした。確かに、環境保護は大事だよね、これが世界のビッグイシューである、ということは知っていたけれど、それが自分に関係するとは思ってもいませんでした。

今でも、本当に自分ごとになっているかといえば、まだどこかで他人ごとなのかもしれません。だけど、デンマークに来てからの3ヶ月で少しは環境問題に対する意識が変わった気がしています。
それは、少し正しい知識を知ったからなのかなと思います。
ということで今日は私がデンマークに来てから知ったわたしたちに環境問題の責任がある理由について書きたいと思います。




環境問題が自分ごとにならなかった三つの疑問

私は、デンマークに来て「サステナビリティ」「CO2排出量」について取り組まなければならないという話を聞くたびに、
①どうして先進国が?発展途上国とか中国とかの問題でしょ?
②どうして私の世代が?解決するのは大人の世代でしょ?
③どうして私が?一人が変わっても何も変わらないのでは?
と思っていました。

そして、友達の話や授業などでいろいろな話を聞くにつれて、すごく納得していきました。ということで、一つずつこの疑問を解いていきたいと思います。

疑問① どうして先進国が?

ファストファッション工場などのエネルギー消費

CO2の排出量は世界全体でみると減っていません。右肩上がりです。(出展:環境省
世界全体のCO2排出量

でも、先進国を見ると軒並み下がっています。
だからやっぱり途上国だよね。私は今までその思考で止まっていました。

では、どうして途上国のCO2排出量が増えているのでしょうか?
それは、わたしたち先進国がみんな工場を中国やインド、途上国に移しているからです。(もちろんその国自身の人口増加、生活スタイルの変化という要因もあります。)

そして、その工場でできたファストファッションの服や大量生産されたものを消費するのは先進国で暮らす人々です。結局先進国から途上国にCO2が排出される場所が変わっただけで、「CO2排出量」の原因は解消されていないのです。

肉などの畜産業によるCO2排出

エネルギー以外にも、以前の記事でゆうかがヴィーガンについて触れていましたが、とにかく肉の生産にはCO2が多く排出されています。そして、先進国では、この肉を多く消費しています。
畜産業では水の利用や穀物の消費がエシカルではないと言われがちですが、肉は自動車よりもCO2を排出していると言われるのです。

疑問② どうして私の世代が?

この気候変動の話は、今、社会の方向を決める大部分を担っている年代には、関係ないことかもしれません。この話よりも、経済的な利益の方が重要だと考えているのでしょう。
ただ、若い世代は自分たちの未来がこれによって失われるという危機感があります

ここに気候変動のためのスクールストライキを始めたスウェーデンのグレダさんの英国議会でのスピーチを引用させていただきます。
(引用元)世界を動かすスウェーデンの16歳女子高生グレタのメッセージ|英国議会スピーチを全訳しました
今から10年と252日10時間後の2030年、人の手を離れて後戻りのできないような連鎖反応が発動する状況になります。それはご存知のように、今の文明の終わりを導くかもしれないものです。
それは、時がくるまでにCO2の放出量を少なくとも50%削減するなどの、かつてない永続的な変化を、社会のあらゆる面で起こさない限り実現してしまいます。念のため触れておくと、この計算はまだ生まれていない大規模な発明品を考慮に入れていません。その発明品は、大気中にある天文学的な数量の二酸化炭素をなくさなければならないのです。
今のは、ただの計算であることを忘れてはなりません。ただの予測です。「引き返すことのできない時」は、遅かれ早かれ2030年前後に訪れるであろうということです。確実なことは誰にもわかりません。しかしながら、この計算は単なる意見や大雑把な予測ではないので、だいたいこの時期に起こると確信できるのです。

疑問③ どうして私が?

小国のデンマークがいくら頑張っても意味ないと私は思っていました。それを学校の先生に聞いたところ、デンマークだけでは意味ないけど、ほかの国に背中を見せることができると言っていました。
例えば、みんなでご飯を食べた後、お皿を洗うのがめんどくさいと放置するとします。その場合、あなた一人だったら誰も困らないかもしれないけど、全校生徒全員がやったら困るよね?あなたを見て、私もそうしようと他の人に思わせる可能性があるということだよと例を出していました。これはマイナスの面の例だけど、プラスの面でもいえるよね、ということです。

わたしたちは生きている以上お互いに影響を与えあっています
だからこそ、ひとりひとりがどう生きるかが重要ということでした。

じゃあ今の私に何ができるのだろうと考えます。
いくら食肉産業が環境に悪いと聞いても、日本の焼肉が恋しくなっているし、多分日本に帰って真っ先に焼肉とお寿司を食べると思います。
いくらファストファッションは環境に悪いと聞いても、洋服を買うのは楽しいし、安くで買えたら嬉しいなと思ってしまいます。
いくら飛行機に乗るのは環境に悪いと聞いても、日本には飛行機に乗らないと帰れないし、今後も海外旅行に行くでしょう。

だから、いかにわたしが環境問題に取り組めるのかすごく難しいと感じてしまいます。

だけど、まずはこの事実を知って、一度消費する前に考えてみる。
知ったからには無駄に消費することはない気がします。
まず私にできることは、すぐに要らないと思うであろう洋服は買わないようにするとか。

意気込まず、できることから確実にちょっとずつ。
ガラリと変わることは難しい。だけど、知ったからにはひとつずつ行動していきたいと思いました。



この記事を書いた人
能條 桃子 
慶應義塾大学経済学部休学中。
大学では井手英策研究会に所属し、財政社会学を学んでいる。
関心テーマは、若者の政治参加、多世代交流、リカレント教育、女性の社会進出や都市化と家族・地域のカタチなど。
NO YOUTH NO JAPANという団体をやっています。

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