わたしが生きたい社会ってどんなだろう?
そのヒントは、北欧にあるかもしれない。

わたしたちが北欧で見たこと、感じたこと、そして、語りたいこと。
大学生たちが現地よりお届けします。

【イベントレポート】3つのテーマで語りあう北欧の「きらめき」



2020216日、わたしたちの北欧がたり。は、デンマークへのスタディーツアーを運営するGlobal Leader Toursさん(以下GLT) と共催でイベントを開催しました。

題して、「北欧社会を語ろうの会~わたしたちが北欧で感じたきらめき~」。

メンバーが帰国して半年が経つ私たちが、なぜこのイベントを開催するのか?
イベントを通して何をお届けしたいと思っているのか?

今回の記事では、このイベントをダイジェスト版で紹介しつつ、開催の意図や参加者、登壇者の感想も紹介していきたいと思います。


行ったからこその生の声を直接届けたい!


幸せ、生き方、教育、デザイン。
わたしたちの北欧がたり。のメンバーも、共催したGLTのメンバーもデンマークに様々な入口から魅力を感じて、留学やスタディーツアーに参加することを決めました。そして、実際に現地に行ったからこそ経験できたこと、感じられたこと、理解が深まったことがたくさんあると思っています。
憧れるだけじゃなく、これからの社会を創るヒントの欠片を、自分の生き方のヒントを、拾ってくることができたのは、やっぱり現地に行ったからこそだと思うんです。

また、北欧がたり。メンバーも帰国後いろいろな経験をし、デンマークでひたすらインプットしひたすら記事を書いていた日々の、外側に立って言葉や想いを重ねてきました。今だからこそ、北欧がたりに興味を持ってくれる方々に直接伝えたいことがたくさん溜まっています。

そこで、今回はまず「北欧・デンマークに行ってみたい!」と思う人を増やしたい、という想いでこのイベントを開催しました。私たちも誰かにきっかけをもらって、デンマークを知りました。今度はそのきっかけを創り出す側になれたらなと思っています。

結果、「私たちが見てきた『きらめき』を知ってほしい!」という開催メンバー6人の想いがいっぱいに詰まったイベントとなりました。参加できなかった方々にも、私たちの現在地を知っていただくべく、イベントの様子やディスカッションの一部を、抜粋してお届けします。

イベントの様子




今回は13名のご参加をいただきました。約7割の方が学生でした。年齢や性別関係なく、初対面同士でも少しづつ会話が生まれていて嬉しかったです。これから北欧に行くつもりの人、行ったことのある人、ちょっと興味があって参加を決めた人と様々でした。
会場は大阪市内にあるシェアハウスのリビングルーム。アットホームな空気がデンマークを思い出させてくれる、素敵な空間でした!


デンマーク情報の紹介


デンマークの詳しい話に入っていく前に、世界の中でのデンマークの位置づけはどんなものか?様々な指標を紹介しました。また、その後のパネルディスカッションのテーマに繋がる政治・選挙の仕組みや教育制度などについても簡単に説明しました。
「幸福度ランキング」といった有名なもの以外の様々な指標や、日本とは大きく異なるシステムそのものにも、驚きや発見が多かったようです。

圧巻のランキングたち…どうしてこんな結果になるのでしょうか?



続くパネルディスカッションが本イベントのメインコンテンツです。
3つの問いを設定し、それぞれに対して2人のパネラーが中心となってエピソードや考えを共有していきました。

パネラー&モデレーター


わたしたちの北欧がたり。
なお:半年間コペンハーゲン大学に留学。北欧がたりのメインライター
ゆうか:1年間コペンハーゲン大学に留学。北欧がたりのメインライター
かほ:1年間フォルケホイスコーレに留学。帰国後も北欧がたりメンバーと仲良し

GLT
はーちゃん:GLT代表。夢を持つことや幸福が関心分野
ゆい:ツアー運営を経験し、今年はツアー企画側のメンター
だいだい:GLT共同代表。教育と遊びが関心分野


パネルディスカッション①「投票率80%?デンマークで感じた『デモクラシー』って?」 

メインパネラーはゆうか(北欧がたり)・はーちゃん(GLT


ゆうか:デンマークのデモクラシーをつくっているものとして3つ思いつきました。
①自分・社会にとって「何が大切か」を考えている。:学校選挙や日常的な会話の中に、自分にとって大事な社会のトピックを考えるきっかけがある。

②政治・社会に参加すること=良いこと、クールなこと:デモに参加したり、選挙で投票したり、政治の話題に詳しくて自分の意見を持っていることが“クール”でイケてる。

③“make a difference できるという感覚がある:自分たちが意思表明をすれば社会に違いを生んだり、政治を変えることができると思っている。無力感が少ないからデモクラシーを信じ、実行するんじゃないか。
 
はーちゃん:翻って、日本では実は「政治に無関心だ」と答える人の数は意外と少ないけど、「政治によって社会を変えられる」と思っている人が極端に少ない。その原因は政治への信頼が低いからではないでしょうか。

モデレーター:どんな社会や政治への参加の事例をデンマークで見ましたか?その事例で、デンマークの人々は社会を変えられると思えてるんでしょうか?

パネラー:
・「デモクラシーフェス」は、政治家と人々が近く接する参加の機会と言えそう。
・そもそも対話して議論するカルチャーがあるから、ただ関わるだけじゃなく、対話や議論の姿勢で色々なことに参加する。そして対話するのは、やっぱり余白がある暮らしからだと思う。
・中学校で選挙での投票の仕方や、意見することを身に着けるっていうことが大きい。

モデレーター:
政治や社会に参加するデモクラシーができるのは、日常の余白から来る文化や、教育による積み重ねが理由としてありそう。そういう実践の1つ1つが、人々の自信や社会への信頼を作っているんじゃないでしょうか。


パネルディスカッション②「教育先進国で見た、「人」を育てる教育とは?」

パネラーはかほ(北欧がたり)と、だいだい(GLT


かほ:昨年1年間フォルケホイスコーレで過ごしました。実際にフォルケ生活の中で感じたデンマークの教育について、3つのことを話します。
①先生と生徒の信頼関係。先生も生徒を「一人の人」として接し、偉そうにしない。

②フォルケでは授業のルールが毎日反復され、それがあったから安心安全な環境が創られていた。
Make mistakes
Trust / Be vulnerable / Be honest
No stupid Q & A

③デンマーク人の人としての魅力を感じた。
素直さ・正直さ
人間としての図太さ・強さ
愛溢れる人々


だいだい:僕は教育者としてデンマークでの視察を行ったり、デンマーク人と実際話す中で感じた教育観を紹介します。

まずは、「子どもとはどういうものか」というイメージが日本とデンマークで違っていること。
・子供は弱い存在では無い
・子どもには子どもの時にやるべきことがある
・教師も生とのことを一人の人間として尊重している

モデレーター:教育する側の先生は、どうやって育てられるのでしょうか?

パネラー:
・先生になるために必ず通う学校がある。日本では教育実習は2-3週間だけど、デンマークのその学校では数か月。何度かに分けで座学と実習を繰り返すことで、練習を積んでいく。
・ファシリテーターのような能力が高いと感じた。教えるんじゃなく、生徒たちに議論させたり、そこからより良い学びを引き出すような、教え方をしている
・一度社会人経験を積んでから先生になる人も多い。どういう人間に育ってほしいかの視点が、民間経験があると違ってくる。

モデレーター:人を育てる教育ができるためには、制度や教える内容だけじゃなく、先生も重要。求められる役割や教え方が、日本とは大きく違うようですね。


パネルディスカッション③「『余白』から生まれるものって?何がデンマークに『余白』を生んでる?」

パネラーはなお(北欧がたり)と、ゆい(GLT

ゆい:余白が生むものは、「そのひとらしさ」だと思います。


  
左がその人らしさを保ててる状態。右は人と同じでいようとしている状態。
デンマークは左の状態でした。違っているからこそ「できないところはできる人にやってもらえばいい。」って思える環境ができていたんじゃないかな。

なお:私は時間的な余白と空間的な余白があると思います。日々の時間の使い方のバランスが取れているし、一生涯で考えても働き始める年齢が遅かったりと余裕がある。また、都市の中にも湖や広い公園があって、密集する息苦しさを感じない。そんな余白があるから、判断基準が自然に「わたし」になっていく。自分の感情や能力に素直になれるんじゃないでしょうか。

モデレーター:余白の時間、具体的にはデンマークの人々はどこで何をしてますか?

パネラー:
・カフェやバーでまったりしてリフレッシュ。休日は昼間からテラス席でビールを飲んだり…
・ギャップイヤーを取って、海外に行ったり、フォルケホイスコーレに通ったり、大学で学びなおしたり、インターンシップをしたりする
・家族との時間を大事にする。仕事を中断して、子供の送り迎えをしたりは普通のこと。家で家族で過ごす時間に、社会のことを話したりするそう。

モデレーター:人と関わることも自分を確立することも、余白があるからこそできている。その時間や場所が大切だと分かっているから、余白を楽しむことができるのかもしれませんね。


交流会

パネルディスカッションで、登壇者たちの経験や考えを知った後は、自由に交流する時間。パネルの内容をさらに深めた質問を受けたり、パネルでは話しきれなかったトピックについて話をしたり、GLTのツアー紹介をしたりしました。
いただく質問から考え直す部分や、新たな知りたいことが生まれたりと大満足。対話の良さを改めて体感しました。

参加者の声


イベント終了後に記入をお願いした参加者アンケートではたくさんの嬉しい感想をいただきました。その一部をご紹介します。

「対話できた」

「いろいろな人と話せた。様々な思いを持って参加していることがわかり、刺激的だった」

「北欧について理解できたし、自分の興味のあるトピックについても理解を深めることができた。」

「北欧にそれぞれの視点から興味がある方々と知り合えたのが方々としりあえたのがとても良かったです。パネルディスカッションも面白かったのですが、欲を言えば交流とか小さいグループでの質疑応答の時間が多くても良かったかなあと思いました。」

「留学に行かれた方がリアルに感じられた所感をお伺いでき、共感する部分もあれば、新しい視点を知れて勉強になりました。」


まとめ


語り続けること、新しい気づきを得続けることは、とっても刺激的でわくわくすることだと感じたイベントになりました。

すっかり意気投合したGLTと私たち、その日のうちに「東京でもイベントやりましょう!」と決定したのでした(笑)
ということで、3/17(火)に「北欧社会を語ろうの会~わたしたちが北欧で感じたきらめき~」in東京、開催です。
記事には書ききれなかった、経験や事例や制度の事もりだくさん!前回とは違うメンバーも参加し、また新たな「きらめき」をお届けします。
北欧がたり的ディープな話を聞きたい方も、北欧に行きたくて足踏みしてる方も、大歓迎です!