10 月中旬、留学先の大学の秋休みを利用し、フィンランドに行ってきました。「フィンランド」と聞いて想像するのは、サンタクロース、サウナ、ムーミンなどが一般的ですが、言わずと知れた教育大国であり、2016 年に発表された研究調査によると、フィンランド人は世界で最も本を読んでいるとの結果が出されています。
そんな読書大国フィンランドの首都ヘルシンキに昨年完成し、2019 年の世界 No. 1 図書館に選ばれた(国際図書館連盟 IFLA, Public Library of the year 2019)新しい中央図書館「Oodi(オーディ)」と、ヘルシンキから電車で15分ほどの場所にあるエスポー市の図書館「Sello(セッロ)」に て、フィンランドの図書館が公共セクターとして人々の生活の中でどのような役割を果たしているのか、見学してきました。
中に入ると図書館なのに何やら良い匂いが、、、左手になんとレストランがあります。
お昼時で席もほぼ埋まっており、ビュッフェ形式から注文形式のスペースもあり、賑わいを見せていました。
この時点で既に従来の図書館の枠を超えていますが、エスカレーターで二階に上がるとそこにはいくつものコンパートメントに仕切られた大小の部屋があり、撮影は禁止されていましたが、大きな部屋ではミーティングをしたり、上映会が開催されていて、小さな部屋では子供達がテレビゲームをしたり、静かに自習をする姿ももちろんありました。
さらには防音機能のついた部屋もあり、音楽作りに熱中する人たち、理系の研究装置のようなものが設置されている部屋もあり、ここにこればなんでもできると言っても過言ではありません。下のように3D プリンターやミシンもたくさん置いてあります。
2階に来てもまだ本が一冊も見当たらない、本当に図書館にいるのかと疑うほどです。
最上階の3階に上がるとやっとたくさんの本が並ぶ図書館らしい光景を目にすることができました。しかしながら、本棚と本棚の間のエリアには休憩スペースがあり、コーヒーを飲みながらおしゃべりする人たちもいて、椅子がずれる少しの物音にも気を遣ってしまう日本の図書館の厳かな静けさとは全くもって雰囲気が異なります。
これだけ色々な要素を詰め込んだら騒がしくて本を読むどころではないのではと思ってしまいそうですが、意外にも気になるほどの騒音は感じられず、皆思い思いに勉強したり、本を読んだり、子供達は遊んだりして同じ空間で過ごして いました。
スケートボードに乗って Oodi に来た男の子の隣では、ミーティングをしに来たサラリーマンが通り、レストランや休憩エリアではお茶しに来たおばあさんたちが楽しそうにしゃべっている。そんな光景を実現することができたのは、人々の生涯学習を促進するため、常識にとらわれない施設を作ることに多くのヘルシンキ市民の共感が集まったからだと考えることができます。出会ったすべてのフィンランドの人たちが、Oodi に対して好印象を抱いていました。
入り口から中に入ると本の貸し出しカウンターがあり、2 階はすべて図書コーナーになっていて一見普通の図書館に見えますが、1 階の奥の方にあるのは実際の市の職員の方が相手をしてくださる市民相談エリアになっています。
ここで働く職員の方にお話を伺うことができました。
お話によると、このエリアでは住宅の相談から、スクーリングの相談、就職や転職の相談なども直接受け付けているようで、まさに、市民が気軽に公共機関に相談できる場所になっているとのことでした。このゾーンの隣は子供の図書コーナーになっているため、子育て中の親が少しここで相談したいことがあった時などに落ち着いて相談することができます。
この点にも、市の派遣施設が図書館内にあることの利点を認めることができ、ちょっとした相談をより気軽にできるような体制が整っていることは、行政活動の流動性を高めることができるとも言えそうです。
Oodi と Sello で異なるのは、Sello では図書館が、広い商業施設の一部になっているため、市民の目的毎の移動回数を減らすことになっている一方、Oodi では一つの大きな図書館の中に、市民一人一人のニーズにできるだけ沿ったクリエイティブな活動ができるように設計されているという点です。しかしながら、図書館 を一つの基幹施設として、そこに付随させる形で様々な機能が含まれているという点では共通しているということができます。ここに、読書大国という特徴を活かした市民生活の活性化の試みを見ることができました。
そんな読書大国フィンランドの首都ヘルシンキに昨年完成し、2019 年の世界 No. 1 図書館に選ばれた(国際図書館連盟 IFLA, Public Library of the year 2019)新しい中央図書館「Oodi(オーディ)」と、ヘルシンキから電車で15分ほどの場所にあるエスポー市の図書館「Sello(セッロ)」に て、フィンランドの図書館が公共セクターとして人々の生活の中でどのような役割を果たしているのか、見学してきました。
全てが革新的、Oodi が示す新たな図書館のあり方
ヘルシンキ中央駅から徒歩数分の、音楽ホールや現代美術館キアズマなどの文化施設が集まるエリアの一角に昨年完成された公共図書館、Oodi は、訪問日が月曜日だったにも関わらず、多くの利用者で溢れていました。まず一番に驚くのが、一見図書館とは思えないようなその外観です。Oodi(図書館)の外観 |
中に入ると図書館なのに何やら良い匂いが、、、左手になんとレストランがあります。
お昼時の図書館内レストラン |
お昼時で席もほぼ埋まっており、ビュッフェ形式から注文形式のスペースもあり、賑わいを見せていました。
この時点で既に従来の図書館の枠を超えていますが、エスカレーターで二階に上がるとそこにはいくつものコンパートメントに仕切られた大小の部屋があり、撮影は禁止されていましたが、大きな部屋ではミーティングをしたり、上映会が開催されていて、小さな部屋では子供達がテレビゲームをしたり、静かに自習をする姿ももちろんありました。
さらには防音機能のついた部屋もあり、音楽作りに熱中する人たち、理系の研究装置のようなものが設置されている部屋もあり、ここにこればなんでもできると言っても過言ではありません。下のように3D プリンターやミシンもたくさん置いてあります。
ミシン |
3Dプリンター |
2階に来てもまだ本が一冊も見当たらない、本当に図書館にいるのかと疑うほどです。
最上階の3階に上がるとやっとたくさんの本が並ぶ図書館らしい光景を目にすることができました。しかしながら、本棚と本棚の間のエリアには休憩スペースがあり、コーヒーを飲みながらおしゃべりする人たちもいて、椅子がずれる少しの物音にも気を遣ってしまう日本の図書館の厳かな静けさとは全くもって雰囲気が異なります。
これだけ色々な要素を詰め込んだら騒がしくて本を読むどころではないのではと思ってしまいそうですが、意外にも気になるほどの騒音は感じられず、皆思い思いに勉強したり、本を読んだり、子供達は遊んだりして同じ空間で過ごして いました。
コンセプトは「すべての人のための図書館」
Oodi の示した新たな図書館の形、それは、「図書館でできることの範囲を広げることで、すべての人にとって図書館を価値のある場所にする」ということだと感じました。スケートボードに乗って Oodi に来た男の子の隣では、ミーティングをしに来たサラリーマンが通り、レストランや休憩エリアではお茶しに来たおばあさんたちが楽しそうにしゃべっている。そんな光景を実現することができたのは、人々の生涯学習を促進するため、常識にとらわれない施設を作ることに多くのヘルシンキ市民の共感が集まったからだと考えることができます。出会ったすべてのフィンランドの人たちが、Oodi に対して好印象を抱いていました。
本を借りるついでに、家の相談まで?エスポー市民の集う場 Sello
ヘルシンキの隣にあるエスポー市の公共図書館 Sello は、Oodi とはまた違った機能を持つ図書館です。Sello(図書館)の外観 |
入り口から中に入ると本の貸し出しカウンターがあり、2 階はすべて図書コーナーになっていて一見普通の図書館に見えますが、1 階の奥の方にあるのは実際の市の職員の方が相手をしてくださる市民相談エリアになっています。
↑周辺の交通カードも購入可能 |
お話によると、このエリアでは住宅の相談から、スクーリングの相談、就職や転職の相談なども直接受け付けているようで、まさに、市民が気軽に公共機関に相談できる場所になっているとのことでした。このゾーンの隣は子供の図書コーナーになっているため、子育て中の親が少しここで相談したいことがあった時などに落ち着いて相談することができます。
この点にも、市の派遣施設が図書館内にあることの利点を認めることができ、ちょっとした相談をより気軽にできるような体制が整っていることは、行政活動の流動性を高めることができるとも言えそうです。
見えてきたのは、図書館を利用した市民生活の活性化
実は Sello には図書館だけでなく、大きなショッピングセンターやスーパーが同じ敷地内に隣接されていて、ヘルシンキから続く電車の駅の目の前に建設されていることから、非常にアクセスしやすく、市民が多く集う場となっています。子育て世代の人々には、子供が図書館で本を読んだり借りたりしている間にささっと買い物を済ませる、なんてことも可能で、時間短縮になります。Oodi と Sello で異なるのは、Sello では図書館が、広い商業施設の一部になっているため、市民の目的毎の移動回数を減らすことになっている一方、Oodi では一つの大きな図書館の中に、市民一人一人のニーズにできるだけ沿ったクリエイティブな活動ができるように設計されているという点です。しかしながら、図書館 を一つの基幹施設として、そこに付随させる形で様々な機能が含まれているという点では共通しているということができます。ここに、読書大国という特徴を活かした市民生活の活性化の試みを見ることができました。