わたしが生きたい社会ってどんなだろう?
そのヒントは、北欧にあるかもしれない。

わたしたちが北欧で見たこと、感じたこと、そして、語りたいこと。
大学生たちが現地よりお届けします。

わたしたちが自販機サブスクにNOと言うべき理由

自販機サブスク、本当にいいの?

日本で初めて自動販売機のサブスクリプションサービスが始まることが話題になりました。

JR東日本ウォータービジネスが日本で初めて自動販売機のサブスクリプションサービス「every pass(エブリーパス)」を始めます。専用スマートフォンアプリのQRコードを自販機にかざすと、対象商品を1日1本受け取れます。
https://news.livedoor.com/article/detail/17000213/

このニュースをみてどう思いましたか?
 「なんか面白そう」「お得かも」「飲み物を補充する人が忙しくなりそう」「砂糖の過剰摂取を促進させそう」など、思った方もいるでしょう。

このニュースへの反応としてもツイッターでは、「何本以上飲むならお得」であったり、「話題のサブスク、自販機にも導入」など、肯定的であったりおもしろがるものをたくさん見ました。

だけど、ちょっと立ち止まってこのサービスを考えてください。
「ペットボトルの消費量が増え、プラスチック汚染が深刻化しそう」と思いませんか?

怒りのツイートをしていました。


この違和感をもっと多くの同世代、日本に住む人たちに知ってもらいたくて、今回の記事を企画しました。
デンマークに留学してて、周りの同世代の意識が非常に高く、何となくペットボトルも環境に悪いんだなと知ったことから、このビジネスモデルに違和感を感じたのですが、じゃあ何が問題なの?と聞かれるとよく知りませんでした。

ということで、同じデンマークに留学している日本でClimate Youth Japanに所属し、気候変動問題の解決を目指している京都大学大学院地球環境学舎の内藤光里さんにお話を聴きながら、なぜ、私たちが自販機サブスクに違和感を持つのかを解説していきます。

まず、率直に、自動販売機のサブスクリプションはどう思いましたか?
経済的にお得だからといって、必要のなかったペットボトル飲料を購入する人が増えると、その分プラスチックごみは増えます。
新しいビジネスが、世界がプラスチックごみ削減に向けて行動している時に、それに逆行するような行動を促進するようなシステムに違和感を持ちました。
ですよね。同感です。 そして、それに対して抗議の声が上がっていない現状にも違和感を持ちました。
でも、実はあまりよく知らないのかなと思っていて、ひとつずつ質問させてください。

プラスチックごみ汚染問題は世界で議論されている

プラスチック削減の動きは世界的に起きていますよね?
2019年7月に行われたG20大阪サミットでもプラスチックごみによる海洋汚染問題は話題となりました。多くの飲食店でプラスチック製ストローを廃止したりしています。
紙のストローはデンマークでもそうですね。
そんな中、サンフランシスコ国際空港が8月末から「空港内でのペットボトルによる飲料水販売を禁止」という方針を明らかにしました。
土方細秩子「SF空港内で禁止されたペットボトル飲料水」WEDGE Infinity http://wedge.ismedia.jp/articles/-/17001?layout=b&fbclid=IwAR2SVKT6F5ciy1gzJNcbktoSXHBAxEAtdthFi9JxQiIPTIuhNtuQqkBiMBI
日本とは真逆の動きですね。

どうして「ペットボトルを減らそう」なの?

プラスチックを使いすぎているのは世界でどれほど問題なのでしょうか?
プラスチックのゴミが、海に流されていて、それが深刻な問題を引き起こしています。


世界では年間約800万トンものプラスチックが、ごみとして海に流れ込んでいるとも推計されています。
この量は東京スカイツリーおよそ222基分、ジャンボジェット機5万機分にもなると言われています。
さらに2050年には、海にいる魚すべての重量よりプラスチックの方が重くなると言われていて、「プラスチックの海」になってしまうのではないかと懸念されています。
1からわかる!プラスチックごみ問題(1)|NHK就活応援ニュースhttps://www3.nhk.or.jp/news/special/news_seminar/jiji/jiji17/
海に漂うプラスチックごみは完全になくなることはありません。
波の力や紫外線によって細かく分解され、5mm以下になるとマイクロプラスチックと呼ばれます。
小さなマイクロプラスチックは日本近海にも多く漂っていることがわかります。
Eriksen M, Lebreton LCM, Carson HS, Thiel M, Moore CJ, Borerro JC, et al. (2014) Plastic Pollution in the World's Oceans: More than 5 Trillion Plastic Pieces Weighing over 250,000 Tons Afloat at Sea. PLoS ONE 9(12): e111913.https://doi.org/10.1371/journal.pone.0111913

魚がマイクロプラスチックを食べ、その魚をわたしたちが食べるという食物連鎖により、人間の健康への被害も懸念されています。
世界的にはそうでも、日本ではペットボトルをリサイクルしているから問題ないということはないですか?
リサイクル率のデータではサーマルリサイクル(熱回収)が大部分を占めています。ペットボトルからペットボトルが作られ有効活用できているという訳ではありません。ごみ処理費用は自治体から税金によって賄われるため、ごみ処理にお金がかかるほど、他の社会保障などに税金を使えなくなります。
国内で処理しきれないプラスチックごみは東南アジアなどの途上国へ輸出されることもあります。管理がきちんとされていない場合もあるため、汚れてリサイクルしにくいプラスチックごみはそのまま海へと流れてしまうこともあります。
良いプラスチックはないのでしょうか?
生分解性プラスチックだったらいいんじゃないの?と言われますが、これも実は完全に問題を解決できている訳ではないのです。石油由来プラに代わる「持続可能な代替物」として推奨されることの多いバイオプラスチックは、石油由来の素材と同様に汚染を引き起こす可能性があります。生分解性とされていても、バイオプラ製品を完全に生分解するには、実際には、分解に必要な微生物の繁殖を促す熱や湿度が管理された状況が必要なため​です。
GREENPEACE「使い捨てプラスチック製品および生物由来原料に対するグリーンピースの見解」2019/7/31 https://www.greenpeace.org/japan/sustainable/publication/2019/07/31/9771/
なるほど。やはり、このサブスク問題は、感情の問題ではなく、事実や科学的根拠に基づく問題だと改めて思いました!ありがとうございました!

「ペットボトルの増加」がもたらす問題

まとめると、ペットボトルの増加により以下のような様々な問題が発生しています。
・消費の増加と後追いリサイクル
・今も放置ペットボトルがいっぱい
・海外に頼ったリサイクル
・自治体費用の増大
・地球温暖化をはじめ環境への影響
「リーフ茶の普及でペットボトルを減らそう-どうして『ペットボトルを減らそうなの?』https://kyoto-leaftea.net/why2/

消費するときは便利で使い勝手の良いものかもしれませんが、処理するときは、①燃やせばCO2増加 ②海に捨てればマイクロプラスチックが健康被害を及ぼす可能性があるということです。
できる限りペットボトルは消費しないことが、人間への悪影響を避けるためにできることです。


自動販売機のサブスクの代わりに、給水スポットがほしい!

ペットボトルのサブスクじゃなくて、どんなサービスがいいですかね?

ペットボトルの代わりにマイボトルを持ち歩く人も増えてきました。
マイボトルを給水する場所がないと、ペットボトルの水をつい買わざるを得ない状況になってしまいます。

Tapは水のグーグルマップで、世界中の給水スポットを探せるので便利です。
日本はまだまだ数が少ないですが、これから増えることに期待したいです。
https://findtap.com/

日本では、mymizuという同様のアプリがあります。一般公開がなんと本日みたいです!(2019年9月20日)
Tapにはまだ載っていない給水スポットもあります。
自分の身近な給水スポットを足すこともできます。
給水スポットのネットワークを広げていきましょう♪
https://www.mymizu.co/home-ja

それぞれが今日からできること

とはいっても、自分たちができることは何だろう?

まずはこの記事をここまで読んでくださり、ありがとうございます。
ペットボトルの環境に対する影響を知り、自身の行動を見直してみてほしいと思います。
これからペットボトルを買おうかなという状況になったとき、ちょっとでも環境に負荷がかかることを思い出してください。

マイボトルを持ち歩くこともおすすめです。
リサイクルではなく、なるべくペットボトルごみの発生を抑制する「リデュース」を心がけましょう。

Friday For Futureの気候デモに参加する

また、環境問題に対するアクションですと、スウェーデンの高校生、グレタ・トゥーンベリさんの行動を発端に、世界中で気候デモが行われています。
「デモ」と聞くと日本ではマイナスなイメージがあるので、気候「マーチ」となっています。

日時:2019年9月20日(金)・もしくは27日(金)
場所:世界各地(日本だと現在18箇所)

🔻詳細はこちら
「グローバル気候マーチ」
https://ja.globalclimatestrike.net/#japan

9月20日のマーチの後、9月23日には国連気候サミットが開催されます。
サミットでは、パリ協定に基づいて、2020年までに各国が長期戦略を提出することになっています。
多くの人が参加し、気候危機への緊急対策を求めましょう!

まずは、このようなサービスが登場した時に、世論として議論が生まれる土壌をつくっていく必要があると思います。ぜひ、思ったことなどと一緒にこの記事をシェアして頂ければなと思います。