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政治への当事者意識の差は選挙制度から?〜もしも日本の衆議院議員選挙が比例代表制だったら〜


こんにちは。

今回は、もしも日本の衆議院議員選挙が比例代表制だったらという仮定で、2017年秋の前回の衆議院選挙の結果を計算してみました。純粋な興味で計算してみただけですが、自民・公明で過半数割るなどびっくりするものだったので、その結果を共有してみたいと思います。
全く架空の想定ですが、ちょっと興味あれば結果見て見てください。

まずは、どうして私がこれを調べてみたのかという話をします。


調査動機

デンマークの若者ってどうして政治に関心あるの?

来週に、デンマークで国政選挙があります!

こっちに来て、選挙前ということもあり、同世代も政治への参加意識や選挙に対する自分ゴト感がすごく強いな感じています。
街の選挙活動の様子
投票率も日本はだいたい国政選挙で54%弱なのに対して85%超え、20代でいうと日本が33%に対してデンマークは80%前後です。

どうしてデンマークでは若者も含めて多くの人が政治に興味を持ち、投票に行くのでしょうか?

デンマーク人の友達にどうして選挙にみなが行くのかと聞いたら、「責任感」と言っていました。自分の一票が国の方向性を決める一票になるという意識が強そうです。これはきっと人口が少ないというだけじゃないと思います。


どうしてデンマーク人には日本人より政治に対する責任感が芽生えているのか?

1つの答えは教育だと感じています。
政治に関心を持つ国民を育てたいかどうかの違いだと私は思います。

先日、Mathias君という高校生の政党支部代表の子にインタビューをしたり、学校の友達と話している中で、若者の政治参加意識は学校や家庭で話すかどうか、親や周りの大人が選挙に行くかどうかなどの影響が大きいと感じています。(→Mathias君の記事はこちら

でも、果たして教育だけなのでしょうか?
もしも、日本の教育スタイルやカリキュラムがデンマークのように変わったとして、それだけで果たして投票率がすごく上がったりすることがあるのだろうか?と考えたときに、私はそうはならないと思います。

教育以外の要素からみる政治参加意識の違い

私は、デンマーク人の友達が選挙に行ったり政治について話したりするのが好きなのは、自分たちが選挙に行くことや他にアクションを起こすことで国を変えられると思ってるからだと感じています。

つまり、いくら投票が大事で、こういう風に投票すると良いですよっという啓発運動をしたところで、その投票によって自分たちの意見が民意として反映されなかったら、結局投票にも行かなくなるだろうし、デンマークの今の状況にはそんなに近づかないのではないかと思います。

自分が政治に影響を与えられると思う政治の仕組み

自分たちの意見が民意として反映されると感じるデンマークの仕組みのなかで特徴的なのは以下の2つだと思います。

・比例代表制
デンマークの仕組みは全国一区の比例代表制を基にしながら、地域別のことも考慮したブロックも導入しています。また、友達と話していて驚くのがみんな議席数とその割合を言えることです。何人をどういう方法で選出しているか、そして彼らはわたしたちの意見を代表する代表だと思っていると感じます。

・多党制
14の党があり、多くの場合、連立政権をつくることで政権を運営しています。14もあるのに、私の多くの友達が党の名前と思想、コンセプトを説明できるように、それぞれがしっかりと認知されています。
そして90%の国民が、投票先の政党を固定しておらず、選挙のたびにどこに投票したいか考えているようです。
最近できた政党のポスター

日本で選挙は民意を完全に反映していると言えるのか?
デンマークでは今回の選挙で政権交代が起きるかどうかを皆が注目しています。

一方で、日本ではだいたい結果が見えています。投票に行ったところで、結果は変わらないし、結局ずっと自民党政権。別に全てが悪いと否定したい訳ではないのですが、自分たちがこの決定に大きく影響を与えている気がしないと私は思っています。

デンマークで日本の政治の話を友達にした時に、何年も政権は変わらないし、過去数十年のうちほとんどを自民党が政権を持っているという話をすると驚かれて不健全だと言われます。「結果だいたい決まってるなら、行かないよね。」というのは、当たり前の感覚だと思います。

これが日本では政治がわたしたちのものだと思えていない要因だと思います。
でも、この結果は選挙という民主的な制度によるもの。

デンマークと日本、なにが違うのだろうか?と考えたときに、「制度」によって、日本では政治がわたしたちのものだと思えない状況が生まれているのではないかと思うようになりました。

2年前の2017年の秋の衆議院選挙、初めて選挙権を得て投票に行った私は、日本で自分の地元の選挙区が自民党の支持基盤がすごく強い地域に住んでいたので、いくらここで自民党以外の人が出馬としても衆議院選挙でこの地区から出る議員はしばらくずっと大きな変化がない限りこの人なんだろうなと感じました。

これをずっと疑問に思ったということで、今回は衆議院選挙の結果に注目して分析してみました。

日本とデンマークの国政選挙の仕組みの違い

ここでデンマークと日本の国政選挙の仕組みを整理します。

デンマーク

・一院制
・任期は4年
・議員数:179議席
比例代表制(179議席のうち135議席が全国一区の比例代表制、グリーランド・フェロー諸島に2議席ずつ、それ以外は地域ブロックの比例代表制)

日本

・二院制(衆議院・参議院)
・任期は衆議院4年(解散あり)、参議院6年(3年ごとに半数ずつ改選で解散はなし)
・議員数:衆議院465議席 参議院238議席
・衆議院は、小選挙区比例代表並立制(289議席が小選挙区制、176議席がブロック比例代表制)
・参議院は、基本都道府県別の選挙区選出制(146議席)と比例代表制(96議席)

日本の方が複雑です。
今回衆議院を注目したのは、基本衆議院の方が政権形成に大きな影響を持っていると考えたためです。

日本の衆議院選挙は、小選挙区比例代表並立制という制度で、465議席のうち60%超の289議席が小選挙区制、残りの176議席がブロック別の比例代表制となっていています。
一方、デンマークは75%が全国一区の比例代表制でそれ以外が地域別の比例代表制です。

小選挙区制のメリットは、多数派の意見が大きく出ることで政局が安定すること。
一方で、比例代表のメリットは、死票が出にくいということ。死票というのは小選挙区制で一つの選挙区から1人議員が輩出されない場合に、1位以外に投票したすべての票がなかったものにされてしまうというものです。

まさにこの死票にも民意があるわけで、私が小選挙区制ではなくて比例代表だったら結果が変わるのでは?と思うポイントです。

調査の目的まとめ

一つは単純に、もしも投票率の高く、民意の反映度が高いと感じるデンマークの制度に近づけたら日本の選挙結果は変わるのか?という興味です。

・死票を生みやすい小選挙区制を導入している衆議院選挙の結果がデンマークと同じ全国一区の比例代表制によるものだったらどこまで結果が変わるのかを知りたい。
・それによって、なかなか政権変わらない「不健全」と指摘された日本の状況が、どこまで民意によるものなのか制度の違いを知りたい。
ということです。

調査方法

前回の2017年秋の衆院選のデータを利用します。

衆議院議員の定数は465人で、うち289人が小選挙区選出議員、176人が比例代表選出議員(地域ブロック)です。
今回は、この289人がもし小選挙区ではなく全国1区の比例代表で選ばれるとしたらという仮説で計算してみたいと思います。

もちろん小選挙区には無所属があって、比例代表にはないなど違いがあることは重々承知です。(無所属などについては、今回は1つの党として扱います。)
そして、比例代表の議席配分は実際と同じドント式を利用しました。

調査結果「もしも2017年秋の衆議院選挙が比例代表制だったら」

分析結果

まず、自民・公明の与党が313議席(67.3%)から231議席(49.7%)になります
過半数が取れなくなるということです。

そして、旧民進(立憲、希望)と共産、社民を合計すると119議席(26%)から197議席(42%)と、過半数はいかないものの1.7倍になります
また、おもしろいと感じたのが野党の第1党が立憲民主党から希望の党(現・国民民主党)になるということです。

シェアの割合

事実(2017年秋の衆議院選挙の結果)

もしも小選挙区の投票が比例代表制だったら


議席数の事実ともしもの差

まとめ

死票にも国民ひとりひとりの民意があって、これを顕在化するとこうなりました。
ひとりひとりの一票が同じ価値だと考えた場合、民意が選挙によって確実に反映されているとは言えないと思います。
逆に「民意」という漠然としたものが、有権者ひとりひとりの意思を明確に反映するものではないということも分かりました。

確かに、小選挙区制にもメリットがありますが、どう考えても地方に地盤が固い自民党による自民党のための制度なのかな?と思ったりします。
この結果をみて、すぐに比例代表制にするべきだと強くは主張できません。きっとこの制度にもメリットや意図があり、デンマークとは違う日本でつくってきた制度だと思うからです。

ただ、民主主義を成り立たせる民主主義の仕組み自体にもわたしたちが対話を通じて考えていかなきゃいけない要素があると感じました。

「どうして日本は政治が遠いのか?」と理由を考えた時、もちろんたくさんの歴史的・文化的・社会的背景や要因があって、選挙制度なんて一つの要因でしかないのでしょう。
だけど、こういう制度の一つ一つに国民に政治への関心を薄くさせている要因があるのではないかと思いました

本当に日本の若者は政治に関心がないのか?と考えたときに、実はみんな興味はちょっとはあるんじゃないのかと思っています。
政治は無関心になれても無関係になれるものではないし、知る機会や身近に感じる機会がないだけで、選挙権を放棄しても良い!と本気で思ってる人はそんなにいないと感じています。
だから、どうやったら自分たちの社会の話をもっとみんなで考えて、良い未来をつくるために民主主義が機能していくか考えていきたいなと思います。

私は自分がすべてを知っていて理解できているとも思えないので、この分析について何か意見があればぜひ教えてください。ちょっとこの分析とか考え方が合ってるか分からないし不安になりながら、一緒にほかの人と考えたいと思って公開します!読んでくれてありがとうございました!


この記事を書いた人
能條 桃子 
慶應義塾大学経済学部休学中。
大学では井手英策研究会に所属し、財政社会学を学んでいる。
関心テーマは、若者の政治参加、多世代交流、リカレント教育、女性の社会進出や都市化と家族・地域のカタチなど。
NO YOUTH NO JAPANという団体をやっています。

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