わたしが生きたい社会ってどんなだろう?
そのヒントは、北欧にあるかもしれない。

わたしたちが北欧で見たこと、感じたこと、そして、語りたいこと。
大学生たちが現地よりお届けします。

わたしたちの北欧がたり。留学報告会ダイジェスト




わたしたちの北欧がたり。留学報告会ダイジェスト

2019年11月2日、わたしたちの北欧がたり。の立ち上げメンバー4人が全員帰国したので、留学報告会を行いました!たくさんの読者の方々にお越しいただき、感謝しております。
今日は、ダイジェストとして、どんな内容だったかを少しご紹介します!

登壇者のご紹介

メンバー4人で報告会をするのではなく、色んな人から見た色んな北欧を伝えたい!ということで声をかけまくった結果、こんな豪華な留学報告会はあっただろうかというほど、素敵な方々に登壇していただきました。

両角 達平さん
静岡県立大学国際関係学研究科CEGLOS客員共同研究員
文教大学生活科学研究所 研究員、駒沢大学非常勤講師

ニールセン北村 朋子さん
2001年よりデンマーク ロラン島在住のアドバイザー、コーディネーター、ジャーナリスト、通訳、翻訳など。デンマークと日本を繋ぐ第一人者として多岐にわたってご活躍中。
一緒にデンマークでフォルケホイスコーレを創設しようとしているニコライさんにも急遽ご登壇いただきました!

鶴田 七瀬さん
一般社団法人ソウレッジ代表
Krogerupフォルケホイスコーレ(2018.8~12)

平山 義活さん
東京藝術大学デザイン科修士2年
Design School Kolding Design for People 修士1年留学

休場 優希さん
横浜市立大学3年
Krogerupフォルケホイスコーレ(2018.8~12)

当日のプログラム

  • オープニングー北欧がたりの自己紹介
  • 登壇者の自己紹介と「北欧のここが好き!」3分間トーク
  • 対談① 北欧社会の魅力はどうつくられる?
  • 対談② プロフェッショナルに質問したい!
  •    北欧発社会カルチャー、日本はどうする?
  • 対談③ 北欧がたりを語る会
  • 全体を通じた質疑応答
  • クロージングーみんなで「北欧がたり」〜学びを共有しよう〜

このレポでは、対談①②③の一部をご紹介します!

留学報告会レポート

対談1:どうして北欧の魅力は作られる?


まず始めに登壇者の学生たちがそれぞれ北欧の好きなところを3分間トーク!
上の画像のような話が出てきました!

それを踏まえて、スウェーデン研究者の両角 達平さんにその魅力が形成された背景について解説をしていただきました。

【達平さんのお話の抜粋】



・高い若者の投票率
スウェーデンの若者の投票率は87%若者と全体の差は2%)で欧米社会の中でもスウェーデンは注目・お手本とされる国です。若者に優しい国1位とも言われています。

・スウェーデンの福祉国家モデル成立の背景
禁酒運動が盛んで、リスペクタブルな労働者の出現しました。普通の労働者が普通の生活をしていこうという考えから、財政を国民の家と考える福祉モデルが登場しました。

・若者の声を社会に反映させる仕組みとカルチャー
投票率が高い背景として、スウェーデンでは、価値観を落とし込む練習を小さいころからします。ただ、教育だけではなく、実際に、全国若者団体協議会(LSU)(政党青年部や全国若者協議会など76の団体が加盟)といった若者の声を政策に反映させる仕組みもあります。

また、世界の大学の就学者の平均年齢は22歳(日本は18歳)ですが、デンマークは25歳、スウェーデンは24歳です。高校出てすぐ大学に進学する人は13%しかおらず、大学に入る前に自分のやりたいことをしっかり見極めるといったカルチャーも背景にあります。

・社会への信頼度と市民社会の役割
ノルウェーやスウェーデンなどの北欧諸国は70%の人が他者を信頼できると回答
日本は英米と同水準の30-40%となっており、高い信頼度は大きな特徴の一つです。
国家(公共機関)・市場(民間企業)・コミュニティ(世帯・家族等)の中にある市民社会の比率が高いという面もあります。

対談2:北欧発社会カルチャーを発端に考える。日本はどうする?

続いての対談では、両角 達平さんとニールセン北村朋子さん、ニコライさんにご登壇いただき、みんなからの疑問に答えていただきました!

Fridays for Futureについて
どうやったら日本でもFridays For Futureが流行ると思いますか?

※Fridays For Futureはスウェーデンの女子高校生グレタ・トゥーンベリさんから始まった若者発の気候変動への対策を求める世界的なムーブメントです。

たっぺい:僕が思うのは、グレタがこうなったのは家族の圧倒的な支援があったから。お母さんがキャリア(オペラ歌手)を諦めるとか(飛行機に乗るのをやめた)食生活をヴィーガンにするとか。彼女の、子供の声でも真剣に聞いてくれる大人だったり社会がスウェーデンにはある。

ニールセン:日本ではなかなか社会運動が進んでいないように思える。デモをいくらやっても受け止めてくれるところがないと空振りになるから。北欧がたりのように自分たちで発信するメディアが必要で、既存のメディアはそこに到達するのに時間がかかる。既存のメディアはどこも似たり寄ったりになっているので若い人が自分たちの欲しいメディアを率先して作っていく必要がある。親が自分の子どもに向き合わないと誰が向き合ってくれるのか。まずは子供の話を真剣に聞いて向き合うことが身近な所から始められることだと思う。

ゆうか:Fridays for Futureをデンマークで見た。デモがイベントになっていてそれがクールになっているよね。

ニールセン:そう。「楽しくなければデモじゃない」がデンマークの伝統なんだよね。

なお:「デモが楽しいんだよ」ということが伝わる媒介があれば楽しいことがみんなに伝わっていくんじゃないかなと思う。

ちか:私はフォルケにいた時にFridays for Futureを体験した。学校でFridays for Futureをやろうと言った発起人が「この日を休んでいいか」と先生と交渉して、先生がそれを受け入れてくれた。私はその時デモには行かなかったけど、学生主体で中庭でワークショップを体験できて、それが北欧らしい、フォルケらしいと感じた。

ニコライ:全部が自分たちの選択の積み重ねだということを自覚することが大事。

日本社会が変わっていくために今日できることは何でしょうか?

たっぺい:自分から発信することが大事だと思う。僕もブログを2011年?からやってるんだけど、意外と世界に届いているって実感がある。世の中についてこう思うということを発信していいという社会を作るためにも、今日からできることを自分から発信するのが大事だなと思う。

みば:Twitterみたいなオンラインだけでなくオフラインの人にも発信することが大事。親とか友達とか、うざくなっても話をすることが大事だと思う。例えば友達と買い物に行った時に「私は袋をいらない」って宣言することから始めるとか。

ニコライ:何かすることが大事だね。何かすることで反応を得られたりする。トレーニングすることが重要だよね。

ちか:フォルケでデンマーク人の友達に「なんでそんなに自分の意見を言えるの?」と聞いたことがある。意見を言わないことは自分はバカだと表明するようなこと。だからどんなにバカな意見でも言うようにしているって言ってて、びっくりした!

ゆうか:でも何も言わないというのもその人の選択なんだよね。
みんな:いいこと言った~

対談3:北欧がたりを語る会


この対談は、北欧がたりメンバーが書いたブログを元に、それを深掘りました。
紹介した5つのブログのうち、印象的だった2つの話をお届けします。

「試験も成績もない「人間を育てる学校」フォルケホイスコーレとは」について

Q:フォルケで何を学んだか
ちか:たくさんのものを学んだけど一番は「自分とはどういうものなのか」を考えた。校長先生に「ここはその練習場所なんだよ」と言われた
つるたま:自己内省を深くする時間だった
みば:24時間4か月間?朝昼晩大勢の人と一緒に暮らす。そうすると自分の良い所と悪い所が良く見える。他者との対話の中で気づくこともあるけど、他者との生活の中で気づくことも多くある。
ちか:共同生活の中で個人の自由って何だろう?ということをすごく考える時間だった。
つるたま:日本の学校と違うなと思ったことは自分たちでルールを作るということ。自分でその学校を作っているという意識を持てた。
なお:DNKではストレートに大学に行く人が少なくてギャップイヤーで行く人が多かったよね。
もも:私はフォルケに自分の向いてる職業とか生き方とかそういうのを知れるかなと思って行ったけど、全然そんなことなかった。お金を稼ぐ「労働」や「仕事」は人生の一部でしかなくて、「フォルケホイスコーレ 」はそれを教える場所ではないんだなと感じた。

なお:フォルケで印象に残ってる授業ある?
もも:ボディージェンダーセクシュアリティという授業を取っていて、授業の中で15分で部屋に戻って自分が一番「女らしい」「男らしい」と思う服を着替えてきてって急に言われたこことがあったのね。(フォルケホイスコーレ は全寮制のため、宿泊している部屋が教室の近くにある。)集まった後に、「なんでその服を着てきたのか」を1人ずつ話して、目に見えないジェンダーステレオタイプを考えるきっかけにするなんていうワークショップがあった。

「環境先進国デンマークのフェスティバル文化に失望した話」について

Q:あなたの北欧に失望した話を教えて
みば:DNKは平等の意識があるという話をしてきたけど、なぜか難民に対しては平等の意識が薄い。相手の文化を理解してないのにブルカでひとまとめにして禁止にしている。
つるたま:ブルカを着ているというのは自分の選択なのに、着ているだけで捕まる。人権を侵害されている。
なお:多文化共生は北欧のスウェーデンを中心に発達したけど、デンマークはスウェーデンの失敗を見て閉ざすようになってる。だから多文化を期待して行くと失望するかも。
たっぺい:スウェーデンの移民は実はイギリスより多い。北欧の中では多様性が進んでるけど、難民に反対する政党も出ている。難民を受け入れてもキャパが追い付かない問題が出ている。
ちか:デンマークでも右寄りの人が出ていて、コーランを燃やすなど過激なことをしているが、それは表現の自由ということで国から選挙予算が出た。結局選挙では負けたから政治家にはなれなかったけど、こんな人も出てくるんだなと驚いたかな。



まとめ


今回の留学報告会では、イメージしていた「北欧」と行ってみて感じた「北欧」、そして、一回行っただけでは分からなかった「北欧」と、様々な面からの話が出ました。
完璧な社会はないですし、日本と北欧諸国は社会背景も様々異なるので比べることはできませんが、「未来へのヒント」があると信じて北欧に留学し、少しヒントを得てきた私たちが今後どう日本の社会で生きていくのか、考える良いきっかけにもなりました!
来てくださったみなさん、ありがとうございました!

イベントのお知らせ

「社会を動かす北欧デザイン」〜社会運動を盛んにするヒントを探して〜

デンマークの反原発運動はどうして成功したの?
オーガニック野菜をみんなが自然と選ぶようになったのはなぜ?

デンマーク在住のニールセン北村朋子さんとデンマークに滞在経験のあるデザイナー平山みな美さんをお招きして、デザインから日本の社会運動がもっと盛んになる方法を考えます!

日程:6月27日(土)20:00~21:30
(21:30~ 放課後:感想シェア)

会場:Zoom開催!
(フォームにご記入いただいたメールアドレスに当日までにリンクをお送りします。)

参加費:無料
(申し込みフォームを当日18時までにご記入ください!)